2011年7月1日金曜日

1日目、夜、それでもまだスタートラインに立っていない 『徒労』

 楽器店を出てすぐのサークルKを見つけるマサシとユウ。自転車屋を聞いてみることに。店に迷惑かもしれないが、闇雲に歩くよりはずっといいはずだ。
 客を待たせてユウの英語を必死で聞き取ってくれようとする店員。ベトナム人は基本的に優しい人が多いように思う。
 英語がうまく通じないのか、筆談をするユウ。二人の店員は一生懸命ユウの言わんとすることを理解してくれようとしているようだ。
 いつの間にか3人に増殖する店員。休憩中のスタッフまで呼んできてくれたようだ。3人寄れば文殊の知恵というだけあって、ユウが『中古自転車を買いたい』という意図は理解されたようだ。
 どうやら無事に場所を聞き出せたらしく、地図と現在位置を確認するマサシ。どうやら元の場所に戻らねばならないようだ。
 「うし、行くかぁ」
気合を入れて進むユウ。マサシのテンションもあがっていている。
 本日すでに4回目のこの通り。さすがにうんざりする星原君。
「なぁお前ら、本当に今日中に国境まで行くのか?」
「とりあえず自転車を買ってから考えましょう!!」目先のことに集中できるのはエネルギッシュですばらしい。でももう少しだけ先のことを考えるた方がいいとも思う。
「よし、この道であってるな。」
地図を確認するマサシ。ここ数時間でずいぶんと旅慣れたようだ。
「あー、ずいぶん暗くなってきた」
空を見上げてつぶやくユウ。 周囲を見る余裕ができてきたようだ。
 目的にに向かって歩く一行。星原君の背中に疲労の影が濃く見えるのは私の気のせいではないはずだ。
 と、その時私の目の前に不思議な店が。なんとヨーグルトカフェである。
 店の入り口の女の子達が私を誘う。ふらふらとそちらに吸い込まれそうになる私だったが・・・
「土屋さん、今はちょっと・・・」
星原君に止められてしまった。ホテルが取ってあればここでお嬢さんたちとヨーグルトをご一緒するところなのだが・・・
 「んーと、そろそろかな?」
地図を見ながらつぶやくマサシ。意識は自転車屋に向かって一直線のようだ。それに比べていくらか疲労している様子の星原君。
 「おし、この辺、この辺ですよ!!」
マサシが地図を握りながら振り返った。なるほど、確かにそれっぽい場所に来ているようだ。
 しかしまわりにあるのは道端で食べ物を売る露天だけだ。それっぽい場所は見当たらない。
教えてもらった場所の周囲をぐるりと回ってみたが、やはり自転車を扱っていそうな店は見当たらなかった。一向に疲労の色が濃くなる。

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