2011年6月29日水曜日

1日目、シンカフェはどこだ?『パズルのピースがひとつ足りない』

 結局バスの運転手のおじさんは何も教えてくれず、終点までたどり着いてしまった。私はこの場所でよいことを知っているが、ユウとマサシはどうなのだろう?ちなみに時計は現地時間で4時半を回ったところだ。すぐに自転車を買って走り始めれば、国境までは届かなくても結構な距離をかせげるだろう。
 何のためらいも無く歩き出す彼らはシンカフェの場所を把握しているのだろうか?
 バス停では許可を得ているのかいないのか、ローカルの人々がいろいろな食べ物を売っている。ただし衛生の問題があるので、胃腸の弱い人間はあまり怪しいものは口にしないほうがいいだろう。
 と、目の前に日本で見る軽自動車のバンが停まっている。バス停に止めていていいものかと思いつつ通り過ぎると・・・
 なんと乗り合いバス!!軽自動車で乗り合いバスは・・・がんばりすぎ。定員とか気にしないのかな・・・確かにバイクの4人乗りとか見るけど。
  「あー、あっちっぽくね?」
 ユウが指差す方向はシンカフェから60度ほどずれている。
 そして結構観光モードに入っている星原君。『写真は俺が撮るからお前のデジカメは俺のデジカメが壊れた時のためにとっておけ』と言いたいのをぐっと我慢しつつ
「シンカフェはここから1キロと離れていないけど、口出しは無用だよ」
と釘を刺す。
 何のためらいも無く道路を渡るマサシとユウ。横断歩道があっても交通量がすごいのである意味命がけの作業になる。
 公園を横目に移動する彼ら。ここの公園は非常に縦長だ。彼らはシンカフェがこの公園が見える通りにあることを知っているのだろうか?
 車に気をつけながらずんずん進む二人だが・・・
「ユウ、シン・カフェの場所って把握してる?」
「・・・どこかでききます」
 サングラスを売りにきたおにいちゃんに突撃する二人。英語はもちろんサングラスを売るのに必要な英語しかわからない。
 気を取り直して進むマサシとユウ。しかしシン・カフェからはどんどん離れていく。
「ホッシー、彼等シン・カフェからどんどん離れて行ってる」
「えっ?!おーい、おまぇ・・・」
あわてて星原君の言葉をさえぎる私。
「つまりそういうことだよ」
私が言わんとしたことを理解して苦悩の表情を浮かべる星原君。つまり、彼らがどれだけ間違った行動をしようと、私達は『彼等の命に危険が及ばない限り』手出しはしてはならないのだ。
「えーっと・・・じゃぁちょっとだけなら?」
「ダイレクトに解決しなければ・・・」
 そのとき目の前を通りかかった屋台のおばちゃんにホッシーが目を止める。なるほど、食べ物を買って情報を貰う。古い手だけどユウやマサシがそれをできるようになると、これから先がかなり楽だな。そしてつまらなくなる。ああ、彼らが成長するならまあよいか。
 ポテトの焼き物のようだ。それなりにうまそう。
 炭火で焼いて、卵を落とす。なんか贅沢な感じだ。ちなみに結構な分量を盛ってくれる。
 そしてお会計。値段は100円ほど。ただしこのおばちゃん、英語が使えないようだった。
 星原君の努力もむなしく、ポテト焼きを買っただけで情報は得られなかった。ふむ、愉快な教訓を残してくれてありがとう星原君。
みんなに振舞う星原君。それなりにおいしい。ちなみに親切なことに箸を2膳くれたが、1膳は落としてしまった。
 さて、私もいただいたし、満足したので行こうか。ああ、星原君は食べながらでいいよ。そのほうがしゃべらなくてすむだろうし。
 さて、ユウもマサシもいろんな人に聞きまくり。
 どんな人でも地元の人なら片っ端から。
 ・・・しかし声をかけやすそうな人というのは結構少ないものだ。道端にいる人はあきらめて別の方針を考えたほうがいいと気づいたようだ。
 そして店前の買い物帰りの女性に声をかけ、
 店番の人に声をかけ、
 警備員のおじさんにも声をかけ、
 レストランのウエイターにも聞いてみた。
 さすがに英語がなかなか通じないのがわかってきたのか、ゼスチャーを駆使して聞くようになってきた。この調子ならあと3時間も粘ればいつかは知ってる人に出会えるかもしれない。
 しかし、ゼスチャーで質問したら相手もゼスチャーで答えてくる。さらに女性の指差す方向は今まで歩いてきた方向だ。
 心配なので近くの店の人に再びゼスチャーでたずねると、同じ方向を指差し、ゼスチャーで答えてくる。
笑ってはいけないが、さすがに状況がやばいと気がついたのか、いつの間にか星原君が必死で相手の言っていることを理解しようと、ユウやマサシに混じって話を聞きにいってしまっている。確かにすでにこのあたりをうろつき始めて一時間になるので、焦りが出てきたというのも大きいのだろうけど。ただでさえギターをしょってて負担は人一倍大きいのだしね。

0 件のコメント:

コメントを投稿