2011年6月28日火曜日

1日目、まだ日本を出てないのにトラブル満載『負のスパイラルが始まった』

とりあえずはいきなり旅が終了するという事態は回避した一行であったが、それはこれから始まる苦悩の連鎖の始まりであった。時間がないということはすなわち『空港での準備が十分にできない』ということに他ならない。

チケットを見てもわかる通り、搭乗開始までわずか20分。この間にセキュリティーを抜け、出国審査を済まし、そしてゲートまでの移動を完了しなければならない。
「先生、両替所がある」
ユウが目ざとく銀行を発見した。
「一応念のために聞いておくけど、みんな海外旅行保険入ってるね?」
私の言葉にマサシだけが目を背けた。ある意味期待を裏切らない。一つ一つの行動の積み重ねが大きな結果を生み出すのだ。それはネガティブな要素に対しても同じである。
あわててAIUで海外旅行保険に入るマサシ。若い年齢だと死亡保障を下げることで保険料を安く抑えることができるのだ。自分が死んだ後の金に興味のない人は是非保険会社に尋ねてみていただきたい。
それを横目に見るユウと星原君。
「ちょっと、俺ら両替できなくね?」
あせるユウ。別に待っていなくてもいいんだよ。もちろん君のそんな行動はこれから先の旅行の最高のスパイスとなることは間違いない。一応入国審査が終わった後も両替所はあるので、そこで両替するつもりだったのだろう。星原君の遅刻に始まってマサシの海外旅行保険、そしてユウの受動的な行動とすべてが計算されつくしたようなタイミングだ。私にとって大変愉快な状況がそろいつつある。
持ち込み禁止のものの一覧がセキュリティゲートの入り口にある。また、ここから先はポストがないので郵便物はセキュリティチェックの前に出しておかないと旅行中持ち歩く羽目になる。
と、星原君がセキュリティで引っかかってしまった。何そんなにうれしそうな顔をしているんだね、星原君?
このくそ忙しい中、なんともタイミングのよいことである。もうライトノベルと同じレベルでありえないシチュエーションがそろっていく。違うのは最後がハッピーエンドとは限らないことか?
どうやらギターが引っかかったようだ。そして数回の検査の後ハーモニカも出てくる。何をしに行くつもりなのか・・・いや、わかってはいるんだ。たぶん君はこれを実際に演奏するつもりなのだということも。
そしてチェックの挙句
「あれ?この荷物じゃない?あ、ごめん、間違えちゃった・・・」
空港の警備スタッフが荷物の取り違えをするというミスも発生。
そしてタイムロスは増えていく。ロスタイムと違ってその時間を後で使えないのが愉快なところだ。
『飛行機に乗るまで時間があるはずだから両替』という話をしていたはずなのに、ゲートまでの移動時間が異様に長かった(シャトルにも乗った)。それが災いして搭乗口についた頃には、すでにファイナルコールになっていた。あわてて飛行機に乗り込む一行だが、もう両替のことは頭にないようだ。
飛行機に乗れてほっとする3人。彼らはまだ両替ができなかった事の重大性に気づいていない。
機内エンターテイメントは、かなり充実している。ムービーだけではなくゲームもできる。
今回は試さなかったが、キーボードもついているようなのでメールとかネットとかもいずれできるようになるのだろうか?アメリカの国内線でネットが使えるのは知ってるが、国際線では難しいと思う。おそらくハードウェアはあるがソフトウェアは対応していないというレベルではないかと思う。
今回睡眠時間が足りない私は、3席ぶち抜きで仮眠をとることにした。これからおきることを考えるとワクワクして眠れそうに無いとも思ったが、これから彼らが踊る舞台の特等席で眺めるためにしばしの休息が必要だ。
私が寝ている横で入国審査用の書類に記入をするマサシ。
「先生、これどうやって書くんすか?」
「ぐぅぅぅぅ(自分でやれ)」
と、そんなことをしている間に機内食が出てきた。私の脳は非常にセンシブルなので飯が出てくると自動的に覚醒するようにできている。今までに機内食を食べ逃したことは無い。
マサシは中華、私は和食を頼んだ。中華は見た目普通。ご飯とパンが同時に出てくるのに違和感があるくらいだろうか?
そして私の選んだ和食。カツ丼に寿司に蕎麦にドラ焼き。で、パン・・・どういう組み合わせ?炭水化物のオンパレードだ。
もちろん食べたら寝る。
マサシは再び入国書類と格闘する。最終的には星原君がフォローしてくれたようだ。
・・・余計なことをしおって・・・
その後、飛行機は無事ベトナムに到着。惰眠をむさぼりまくった私は、生徒が行うであろうミスのいくつかを考えながら、本日の宿について考えをめぐらせた。おそらく暗くなるまでにホーチミン市内で宿を取るという形になるだろう。
飛行機からボーディングブリッジを通ると、南国の暑さを感じる。これからこの暑さの中、マサシとユウはどの程度の情報を持ち、どの程度まで綿密な計画を持っているのだろう?
空はいくらか不安な色の雲をたたえており、あまりぐずぐずしていると土砂降りになるかもしれない。こちらの雨は一時的に強く降るがそれほど長くは続かないので雨宿りすればよいだけではあるが。
そしてやっと、ユウとマサシの冒険はその幕を開けるのである。

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